2009年7月6日月曜日

質問をしたら、「3秒」は答えを待て

お客から愛される「質問の仕方」

Q:質問の仕方について、誤っているものをひとつ選べ。

(1) 「~はお好きですか」など、答えやすい質問で話しやすい雰囲気を作る。
(2) 「~それはなぜですか」など、理由を尋ねるときは質問を重ねて答えを待つ。
(3) 「~はどうですか」など詳しい内容の答えを、間をおかずに求める。
(4) 「~についてどう思いますか」など、漠然とした質問で話を引き出す。
(5) 「~のことですね」など、こちらが理解していることを相手に伝える。


質問をしたら、「3秒」は答えを待て

 ビジネス能力検定2級(第7回)の問題である。少々、難しいかもしれない。正解は、(3)であるが、どこが間違いなのか、その箇所をすぐに見破れる人は、かなりの質問上手だろう。

 この選択肢は、「間をおかずに」の部分が、誤っている。読者のみなさんは、これに気づいただろうか。

 相手が答えを言う前に、矢継ぎ早に質問をくり出し、混乱させるテクニックがないわけではない。法廷では、弁護士が被疑者に、ポンポンと質問をつづ け、言いよどみを誘ったり、発言の矛盾を暴き出そうとすることがある。そういうテクニックのひとつと考えれば、(3)も不正解にはならないのだが、それは 読みすぎである。

 基本的な姿勢としては、やはり質問をしたからには、ゆっくりと相手の返事を待つのが正しい。

 質問をし、相手が返事をしてくれたとしても、さらに3秒は待とう。なぜなら、こちらが沈黙していると、相手はさらに言葉をつづけてくれることがあるからである。そして、そういうときにこそ、相手のホンネなり感情なりが出てきやすくなるものなのだ。

 マーケターが消費者調査をするときなどは、本当の気持ちを探るために、「3秒沈黙する」というテクニックが使われる。たとえば、次のような具合である。

「こちらの自動車はお好きですか?」
「ええ、いい車ですね」
「……」(3秒)
「……あ、でも、やはりデザインが派手すぎるかな。もう少しシックなほうがいいな」

 これが、上手な質問の仕方である。相手からの返事がかえってきたからといって、それがすぐに相手のホンネだと思ってはいけない。この例でいうと、 もし3秒の沈黙がなければ、「このお客は、この自動車を気に入っている」という回答が得られたことになってしまうが、実際には、「デザインが気に入らな い」という否定的な回答が、彼にとってのホンネなのである。

 なお、関心はなくとも、とりあえず相手に質問することは、それ自体が好かれるコツであることもわかっている

 ルイジアナ大学のデビッド・ストラットン博士が、1500社の営業、セールスで働く人を調べたところ、お客に質問をするのがうまい人ほど、お客か ら愛されているということがわかった。関心がないことでも、お客に、「○○はどうでしょうか?」とうまく質問をし、それをとっかかりにして、お客の相談に のってあげることもできる。

 だいたい、「間をおかず」に、質問をぶつけてくる人は、おしゃべりであることが多く、他人に話をさせるというより、自分のほうがたくさんしゃべっ てしまう傾向がある。私がそういう人間なのでよくわかるのだが、相手の返事が遅いと、イライラしてしまうような人は、もう少し落ち着いて他人の話に耳を傾 ける訓練をしたほうがいいだろう。

 相手の話をしっかり聞いてあげると、相手は、「自分のことを受け止めてくれた」と思うものであり、それがあなたへの信頼を高めるのだ。聞き上手な人ほど、信頼されやすいのは、相手のすべてを受け入れてあげるからである。

【答え (3)】

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